小説①『Baby!!baseball』第一話(以前から抜き出し&推敲)

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『Baby!!baseball』第一話(以前の作品から抜き出し&推敲)




 私の通っている高校の野球部は、県内でもトップクラスの実力を誇っている。
選手たちはほとんどが県外出身者。つまりスカウトされ連れてこられた英雄の卵。
監督&コーチは、県外の高校から呼び寄せた一流の指導者であり、グラウンドはナイター設備の整った球場をそのまま再現したような大きさで、まさしく甲子園。
練習は、もちろん鬼のように厳しい。朝から晩まで野球漬けの日々。彼女なんて作れやしない。全員丸坊主、そして顔は高校球児らしく若々しく精悍なのだ。
そんな我が校であったが、ここ近年どうしたことか甲子園まで後一歩というところで、決まって敗退していた。
選手、コーチ、練習どれをとっても文句ないのに、何かが足りないらしいのだが・・・
詰まるところ、その正体、私は運だと思う。
エラー、イレギュラーはもちろん、天候、エースの病など野球部には何かしらの運が欠落している。
この運に関しては、いくら私でも、監督でも、コーチでも、選手でさえどうすることも出来ない。
まあ、その不運について更に語るに、
『不運は伝染する。』
ということを私はここ最近知った。
今回、その運のなさは、我が校全体の経営にまで及んでいたらしい。
指がかじかむくらい冷たい冷気が外を埋めていたとある日の早朝、いつも通りの全校集会で躊躇いながら発言された校長先生のお言葉は、私たちにとってあまりにも衝撃的なものだった。
「ええ〜、この学校つぶれます。以上」
どうやらアホな2代目理事長さんが、株で大穴を開けてしまったらしい。
そんな噂が飛び交ううちに、我が校の経営権は他のグループに移ったようで、この上の変化に戸惑いつつも、特別変わり映えのない私たちの学校生活は、そのままゆっくり過ぎていった・・・