6-01-01から1年間の記事一覧

アンチテーゼ電車男

中央通りの景色は、普段と変わらず、忙しない人混みで溢れていた。新谷一郎は、ハンドルを握りしめたまま、車内に設置してあるデジタル時計に幾度となく目を配らせる。時計に写る一郎の表情はどこか硬く、年を刻んだ顔の皺に脂汗が滴り落ちていた。「早くし…

蝉時雨

終わりの告白

『何事にも終わりはある。』 常識というよりも、法則。この世の理として当たり前に存在している。物事が立てば、対にそれは極自然に収束するという出来事。私も当然ながら『終わり』に対する一応の知識については理解してるつもりだ。 例えば、いま私が席に…

ループ&ループ

その日。早朝。夏も近しい6月の上旬。

私の心地よい遊び方

普段からあまり人目も気にせず、ずぼらな私は、今から仕事に行くという最中、偶然にも通りかかった一台の大型ワゴンの中から出てきた如何にもな男の人たちに、クロロホルム入りのガーゼを嗅がされ、バタンと気を失ったところを、上手い具合にワゴンの中に押…