秋も深まって参りました・・・

3つほどbook簡単レビューを。


クドリャフカの順番―「十文字」事件

クドリャフカの順番―「十文字」事件



初めてこの人の作品を手にとってみて、読み終わりこの本が初めてで良かったなあと素直に思えました。古典部シリーズ3作目(ということは1,2が存在するわけだ)知らずの初見でも十分にキャラクター達の魅力に虜まれ、彼らと一緒に文化祭を楽しみ、ちょっとした青春のほろ苦さも味わいつつ、おまけにミステリー。なんだこれ、最高じゃないか!


天使のナイフ

天使のナイフ



乱歩賞受賞作にして話題作ということで。読了後、恍惚の吐息一つ。気持ち良いくらいの人物配置に、とんとんと事件が起こり、起こるついでに事件の真相がほろろに溶け出す良ミス。でも、著者が本当に叫びたい部分はエンタメミステリーにあらず。少年犯罪に関わった被害者・加害者・関係者、それらの人々が持つ視線・生き方・考え方を描くことで、「少年法とは何ぞや」の本質的な疑問点が浮上してきて、読者に「君は現在の少年法、甘い?それとも辛い、・・・・・・ホントのところ、問題は別のところにあるよね?」と。問題提起を残したまま著者は物語から去りますが、著者の問題提起に対する答えはもう出ているはず。私たちは・・・熟考してみましょう!


容疑者Xの献身

容疑者Xの献身



無限の愛ってあるんですね。あっ、いまいち意味合いが違うような・・・無償の愛でしょうか?なんでしょう?今回の物語を著者自身は最高の純愛と呼んでいます。純愛か・・・なるほど。今回の倒叙式の穴を使った見事なトリック。このトリックは同時に物語を語る上で外せないキーでもあります。トリックがあって純愛が成り立ち、純愛を貫くために仕掛けたトリック。互いが相乗し合い見事に構築した倒叙ミステリーの傑作。ラストのステロさが胸を打ち、涙は心の内に流しました。