旅中小噺その1

順番順番に綴っていくののもなんなんで(飽きるので)、小噺的に一話一話で語っていきます。

『3日目熊本・・・なんてでかさだ!!!』


3日目早朝、水俣を朝7時に出発したボクは、前日に立てた予定通り3号線を北へ、目的地大牟田まで快調にペダルを漕いでいた・・・・・・・・・と順風満帆な旅路を計算に入れてスタートしたはずが、熊本の誇る山道・悪路に加え、予想外だったトンネルの恐怖、更には空を見上げると灰色の雲が空一面を覆い、当然のような悪天候がボクの体に襲いかかる(この間にも色々なドラマがあるのだがそれはまた後ほど)。そうして苦節15時間、時刻は夜の10時、ようやく辿り着いた火の国熊本の首都熊本市は、大牟田から約60キロ南に位置する九州第3位の規模を誇る大都会だった。
夜の帳に包まれた熊本の繁華街。会社帰りのサラリーマンが群れて通りを闊歩し、夜を過ごす若者たちはダルダルのスト系ファッションに身を包み、辺りの様子を伺っている。夜の店も盛況なようでセーラー服・チャイナ・絹のドレス等に着替えた女性達が通りを歩く男たちに積極的なアプローチを試みていた。
なるほど。以前友人から熊本の夜は恐ろしいと聞いていたことを思い出した。熊本の夜は火の国らしく覚めやらぬどこか危険な香りを醸ち出していた。
閑話休題、ボクはこうして熊本の繁華街真っ只中に足を下ろした。長旅にボクの足は時間分の疲労を蓄え、その他のパーツもギシギシと音を立てて軋んでいた。汗も体から染み出したものが直接服に染みこみ、夜の風も拭えない異臭としてボクの身体を覆っていた。
「これはやばい」
言葉を口に出し、漸く決心がついた。旅費はやばいけれど、とりあえず・・・・・・・・・温泉行こう♪


温泉探しは予想に反してすんなり見つかった。中○温泉。至極平凡な名前の大衆浴場であった。熊本くんだり大衆浴場か・・・など微かに思ったりもしたが、直に頭からその考えを追い払った。今はこうして温泉には入れるだけでも幸せ者だ。果報者。心頭滅却すれば火もまた涼し・・・・・・・・・
扉を開けると直に番台が現れた。「いらっしゃいませ」番頭さんが柔道100キロ級の鈴木選手にソックリで驚いた。でも良く見ると体がミニサイズ。不釣合いに笑いが零れた。300円を台の上に載せると男湯の暖簾をくぐった。脱衣室は広くは無いものの清潔感のある気持ちの良いところだった。おまけに現在男湯にいるのはボク一人という環境。荷物を降ろし、汚れてないタオルを手にとると、ついで善からぬ考えが頭に浮かび、それに従い汚れた衣服も一緒に銭湯の扉をガラガラ開けた。
一人なので何でも出来ると、体を洗い終わったボクは早速洗濯を始めた。石鹸をたっぷりと手の中で泡立てて服に擦り付ける。いい感じに洗濯が進んできた頃、ガラガラガラ一人客が浴室へと入ってきた。はっと洗濯途中の衣服を身体で隠し、ボクは客の様子を窺った。そして、目を疑った。
入ってきた客は60歳前後の中肉中背、勿論男である。タオルを首に掛け、下を俯き、股間を晒したまま鈍重な足取りでこちらに向かってくる。それは至って普通である。ただある部分が大いに問題がある程度の事ではあるのだが、その程度がボクの”想定内”をはるかに超えたモノだった。
男性のシンボル。ボクは至って普通のサイズ。小さくもなく大きくもなく。他人と比べた事は数回あるが、まあ可もなく不可もなくといったものである。ボクが最初その男のモノを見た時は、何か変なものをぶら提げている程度ぐらいにしか思わなかった。ところが数秒後、その規格外の大きさを漸く脳内で認識できるようになった頃には、あまりの出来事に何故か嬉しさがこみ上げてきたのだった。
通常時推定20センチサイズ。
ボクは忘れない。あの後光が差していた彼の逸物を。
ボクは忘れない。彼のシンボルをwwwwwww