小説「(無題)」第一話

ロックな青春ものを書きたくて、ここに書いてみようと思います。題名は後ほど。毎日更新(日曜除く)がモットーです。頑張ります(何を



「僕は、普通に平凡な人間です」と、僕は言ってみる。
言った後すぐに「平凡」という言葉を僕自身の性質に使ってしまったことで起こる空虚、恥辱に、少しだけ嫌悪感を抱いてしまったけれど、今のこの状況ではまず何より我が身の保身が最優先事項であるに違いなかった。
「僕は、普通に道を歩いていた一般人です」僕は、もう一度言ってみる。今度はさっきよりも少し声を大きくしてみた。嫌悪感が僕の胸に溢れる。
人々は誰も僕の方を見ていなかった。野次馬が築きあげヤンヤヤンヤ騒がしい輪の内側に、僕も一応は参加しているにも関わらずである。おばちゃんも、学生も、買い物帰りの若奥さんも、或いはちっちゃくませたちびっ子までも、僕には目もくれない。
透けたアーケードから覗く夕焼け空に目を這わしながら、僕はしばし、「透明人間て、こんな気分なのかな」と心の中で少し涙ぐんだ。そうして、僕も野次馬の視線の先にあるここから2メートルほど向こう側で起きている出来事に目を移すことにする。

今日はこれだけです、序章。明日2話目。