本読みビーチ

【読了本】

PLAY プレイ』(山口雅也PLAY  プレイ
ミステリーの?才、山口雅也の初読了本です。以前から手を付けてみたかった作家だったのですが、何となく疎遠でして(以前『奇偶』で途中下車)。でも、まあ、今回は実際手にとって、ぱらりページを捲ってみますと・・・・・・・・・
【内容】
この短編もまた今年の読本ベスト10に入りそうな暗い面白い、存外に良作でした。多分それはまだ私が『山口雅也の深淵世界』に心身共浸かってないことからそう感じることであって、旧知の読者からしてみれば、「少し薄めだな」と嘆息してしまうものなのかもしれませんが。つまり、これは「山口雅也の初読に適す短編集」、との位置付けで、どうでしょうか。
さてさて、今回の短編集。全体としましては、ミステリーというよりもホラーよりの作品となっております。ミステリーではすでに高致の方にある山口雅也が、今回は本分を抑えめにホラーで描いた4作品は、一言「秀逸」です。
①「ぬいのファミリー」
・・・習癖から移りゆく狂気へのプロセスが(恐)
②「蛇と梯子」
・・・読んでいて、映画「ジュマンジ [DVD]」を思い出しました。しかし、こちらは輪廻な分、結末は最悪。
③「黄昏時に鬼たちは」
・・・4つの中では最もミステリーしていた作品。非常に引き籠もりの心情が描けていたと思います。というよりもこれ、引き籠もり専門のカウンセラーの方々に、是非読んで頂きたい作品ではあります。
④「ゲームの終わり/始まり」
虚構と現実の錯綜という通常は収拾の付かない作品になるケースが多い中、これは旨く収めたと思います。結末は収拾付いてませんけど(笑)
私の好みとすれば、②・③かも・・・です。
【お星様】これはお勧めです。★★★★☆